現状は?
はじまったのはいつ?
2003年6月6日に国民生活センターは高齢者向けのサービスが民間企業にも拡大していることを受けて、具体的にどのようなことを行っているのか調査しました。その報告書によると、それまでは高齢者が自ら通報する緊急通報サービスが安否確認サービスの中心だったそうです。しかし、民間企業が参入したことによって電気ポットやガスの利用状況や部屋に取りつけたセンサーなどの情報通信機器を活用して高齢者の安否確認ができるサービスが台頭していることが分かりました。
また、調査をする前までは安否確認サービスは日本全国が対象で利用しやすい料金が設定されていたため多くの人が利用していると予想されていましたが、実際は50人程度と思っているよりも少ない人数でした。まだ新しいサービスであることや緊急対応ではなく日常生活の見守りに重点を置いていたことが理由として考えられます。
高齢者と家族、双方のニーズは?
大きな注目を集めている安否確認サービスですが、実際の利用状況とは差があります。高齢者と家族、それぞれのニーズと利用状況を見ていきましょう。
まずは、東京都大田区で65歳以上の1人暮らしの高齢者2,569人を対象にした安否確認サービスに関する調査から高齢者のニーズについて考えてみます。調査に協力したのは約半数の1,095人で、その人たちのデータを分析してみると、緊急通報を利用しているのは11.3%、民生委員など緊急連絡先を登録しているのは18.0%、定期的な電話による安否確認など人的なサービスを利用しているのは10.3%、民間企業のセンサーによる見守りは4.7%でした。今後どのようなサービスを利用したいのか、という問いには、緊急通報は47.9%、緊急連絡先の登録は36.2%、人的な安否確認サービスは32.6%、センサーによる見守りは30.6%となっていました。この結果から、日常生活の見守りよりも病気や事故などの緊急時に対応するサービスの方が、ニーズが高いことが分かります。
次に家族のニーズについて見ていきましょう。全国の65歳以上の親と離れて暮らしている30歳以上64歳以下の子世代1,500人を対象に、どのような安否確認サービスを必要としているのかを調査した報告書によると、約75%以上の人が離れて暮らす親を心配していることが分かりました。しかし、実際に安否確認サービスを利用しているのは、緊急通報が 3.5%、人的な安否確認サービスが1.0%、駆けつけサービスが1.7%です。
なぜ、親の健康状態や安全を心配しているのに、積極的に安否確認サービスを利用していないのでしょうか。安否確認サービスを利用していない理由は、「まだ必要ない」が47.6%と半数近くを占め、次いで「近所に身内がいる」が42.0%となっています。安否確認サービスを必要としてはいるものの、それほど緊急性を感じていないため利用者が少ないのが現状のようです。