具体例を紹介
IoTとAIを利用したシステムが大活躍
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者を迎える2025年問題を解消する一手として注目を集めているのが、IoTやAIを利用した安否確認サービスです。スマートフォンの普及やIoT技術の発達もあり、デバイスと通信を組み合わせて離れて暮らす親の安否確認を行うサービスが急速に進化しています。安否確認サービスがはじまった当初はカメラやウェアラブルデバイスで確認するシステムがほとんどでしたが、プライバシーの配慮や装着の煩わしさなどから最近は非接触型のセンサーが増えてきています。生活空間の中にさりげなくあるため、高齢者はセンサーを意識することなく過ごせます。さらにAI(人工知能)で解析する次世代の安否確認サービスの開発にも力を入れています。
ある調査によると、高齢者の増加とともに医療や介護のサービスのニーズが伸び続け、その中でも安否確認サービスが中心に位置すると予測されています。そのため、非接触センサーを利用した安否確認サービスのニーズはますます高まることでしょう。
具体的にどのようなことを行っているのか、分かりやすいように一例を紹介します。
「ライフリズムナビ+Dr.」
スリープテックベンチャーのエコナビスタが開発したシステムです。ベッドのマットレスの下に設置されている体動センサーや人感センサー、温・湿度センサーといった非接触センサーで睡眠状態や心拍数、呼吸数などの生体データを1分ごとに収集し、AIによる解析を行います。医療機関とも連携し、専門医による健康アドバイスが受けられるなどの付加価値もあります。センサーにはあらかじめ3G回線のSIMカードが搭載されており、設置するのに大きな工事は必要ありません。
「eMamo」
IoTベンチャーのリンクジャパンが開発したシステムです。リンクジャパンはIoT関連のプロダクトを企画・開発・製造している企業です。それらのプロダクトとセンサーを介護施設や自宅に設置し、あらゆる方向から生活データを収集します。具体的には、ドアの開閉センサー、カーテンを自動で開閉するスマートカーテン、温度や湿度、気圧などの環境情報を検知する環境センサーなどです。集めたデータをクラウド上でAI解析し、異常があれば家族や介護事業者、提携している警備会社などにアラートが通知されます。
海外企業と共同開発
安否確認サービスのシステムを開発しているのは国内企業だけではありません。NTTドコモはサンフランシスコのスタートアップ、Tellus You Careと共同で非接触センサーによる安否確認の開発を進めています。ベッド脇に小型のデバイスを設置し、些細な動きから高齢者の歩行や睡眠状態、呼吸数、脈拍などの健康データを収集するシステムで、AIでリアルタイムの状態を分析・把握し、スタッフが管理画面で確認します。