介護現場でも求められている
介護現場はマンパワーが不足している
少子高齢化により介護業界はマンパワー不足に陥っています。少ない人数で仕事をこなさなければならないため、スタッフ1人あたりに課せられる負担も増しています。高齢者はまだまだ増加していくと見なされているため、このままの状態が続くようであればさらに厳しい状況となることでしょう。特に、人手が足りなくなるといわれているのが団塊世代の多くが後期高齢者となる2025年です。「2025年問題」とも呼ばれるこの問題を解決するためにも力を入れているのが、IoTの導入です。IoTの導入によって不足している人的リソースを補おうとしています。
マンパワー不足による弊害
少ない人数で多くの高齢者を介護しなければならないため、1人にかける時間も少なくなってしまいます。そうなると、丁寧な介護を実践することはできないでしょう。実際、誤薬や骨折などの事故の件数が増え、さらには死亡事故や虐待などを含む重大事故も発生しています。
これは単に人手が足りていないというだけではなく、人材を選りすぐるほどの余裕がないことも関係しています。人材獲得競争が激化しているため、どの施設もとにかく人手を確保することを最優先とし応募者の能力まで言及していないのです。優秀な人材を確保できない介護施設は今後さらに介護の質が低下する恐れがあります。
定着率が低い
慢性的なマンパワー不足に悩んでいる介護業界ですが、その一方で高齢者の割合は年々増え続けています。介護現場で働くスタッフに課せられている負担も増えるわけですが、いつまで経っても状況が変わらないことに疑問を感じて離職するスタッフも多く、定着率に悩んでいる介護施設も少なくありません。離職するスタッフの6割は入社後3年未満の人たちです。高度な技術や知識を持ったスタッフが育たないため、結果的に介護の質の低下も招いてしまうのです。定着率を高めるためにもスタッフの負担軽減や職場環境の見直しが急務とされています。
IoTの導入がマンパワー不足に役立つ
スタッフの負担を少しでも軽くするためにIoTが導入されています。その中でも注目を集めているのが、ICT(情報通信技術)やセンシングシステムを活用して遠隔地から高齢者の安否や健康状態を確認できるサービスです。スタッフがその場にいなくても、リアルタイムで高齢者を見守ることができ、1人暮らしの高齢者の孤独死防止や認知症高齢者の徘徊防止などにも役立つとして、最近は介護施設だけではなく自宅にこのサービスを導入する家庭も増えています。